地球環境学主専攻

「地球環境」は世界的に注目されるキーワードのひとつとなっています。地球学類の地球環境学主専攻では、「地球環境」を理解するために、フィールドワークやデータ解析、室内実験等を通じて、地表面上のさまざまな空間スケールに展開する諸現象を多角的に探求します。地球環境学主専攻には、人文地理学、地誌学、地形学、水文科学、大気科学、環境動態解析学の6分野があり、地球環境を舞台に展開する人間活動の特性、人間活動と自然環境の関係、地表面上にみられる地形、水、大気など自然現象をテーマとして「地球環境」を多角的に探求します。それぞれの分野には、海外での調査・研究経験が豊富で、国際的にも活躍する研究者がそろっており,こうした最前線の研究を主専攻の教育にもフィードバックしています。

実際の研究では、聞き取り調査、土地利用調査、地形調査、河川・湖沼での調査・観測、気象観測などのフィールドワーク、観測データや既存の統計データの解析などを通じて、現実の「地球環境」の姿を把握し、さらに室内実験、数値シミュレーション等を踏まえ、それらの特性を解明しています。さらに、なぜそうした結果が導出されたのかを、「地球環境」に関連するさまざまな要因と関係づけて考察しています。しかし、それぞれの分野が完全に独立して研究を進めているわけではなく、お互いの学問分野の枠を越えて「地球環境」の特性を総合的に把握することを目指しています。こうした研究プロセスを通じて、21世紀の地球人としてふさわしい総合的な思考力を養成し、さまざまな社会的要請に応える人材育成を目指しています。

地表面における人間活動の地域的特質を自然環境のかかわりも含めて総合的・系統的に研究


教員

松井 圭介【教授】

現代におけるローカルな宗教空間のコンテクスト

久保 倫子【助教】

都市地理学におけるハウジング研究

主な卒業研究

  • 北陸地方における都市群の近接性の変化と要因分析

  • 社会的空間からみた首都圏在住ムスリムの日常生活に関する研究

  • 原木乾シイタケの生産・流通構造-大分県豊後大野市地域を事例として-

  • 反都市文学の展開における地域の関与-川端康成「雪国」を例として-

  • 方言形成における地域交流の影響-千葉県銚子方言を事例として-

  • 地方出身大卒者の居住地移動と要因分析-長野県松本市の高校卒業者を対象に-

  • ミュージシャンの街下北沢の地域特性-ライブハウスとバンドに注目して-

野外実験(茨城県大洗市)
野外実験(長崎県平戸市)
景観調査
土地利用調査

都市地域や湿潤熱帯地域など居住環境の違いに着目しつつ,人間環境システムを地域論的な観点から解明


教員

呉羽 正昭【教授 】

日本とヨーロッパにおける観光地域の研究

堤 純【教授 】

オーストラリア研究,都市地理学,GIS

松井 健一【准教授】

先住民族の権利と生物多様性、水倫理と水利権

山下 亜紀郎【助教 】

都市の水環境問題および流域の水需給

主な卒業研究

  • 温泉地における新たなツーリズム形態-山形県銀山温泉を事例に-

  • 群馬県前橋市における一般廃棄物処理の空間構造

  • 柏の葉における住民の環境意識形成と形成に影響を及ぼす要因

  • 国際合弁企業による企業空間の変容-サハリン2プロジェクトの運営企業を事例として-

  • 都市地域における緑地環境の維持に対する取り組み―川崎市を事例に―

  • 短期滞在者の行動からみた金沢市における都市観光の時空間構造-位置情報付きSNSデータを活用して-

オーストリア・チロル地方巡検
メルボルンの多文化社会景観
ブラジル乾燥地域の大規模農場

風化・侵食・運搬・堆積の諸過程によって変化する地形を基礎的・応用的に研究


教員

池田 敦【准教授 】

高山帯の地形変化を水循環変動と絡めて研究

八反地 剛【准教授】

山地の地形変化.特に斜面崩壊と侵食

関口 智寛【講師】

海岸・河川地形プロセスに関する実験的研究

PARKNER, Thomas【助教 】

土壌の侵食,堆積とそれらへの人間活動の影響

主な卒業研究

  • 広島豪雨における表層崩壊の発生条件

  • 秋吉台カルストにおけるドリーネの土層分布

  • 木曽山脈の森林限界移行帯における植生分布と地形量の関係

  • スイスアルプスにおける解氷後の露岩表面の風化の定量化

  • 津波堆積物の分布パターンに関する実験的研究

  • 複合流による海底微地形の類型化と形成条件

スイスアルプスでの卒業研究調査
表層崩壊(伊豆大島)
カルスト地形(秋吉台)
実験で形成された海底微地形

自然界における水の循環とその物理的・化学的・生物学的プロセスを総合的に研究


教員

浅沼 順【教授 】

大気中の水、蒸発散、水利用など

杉田 倫明【教授 】

水文学;水循環,物質,熱輸送と環境問題

辻村 真貴【教授 】

マルチ・トレーサーによる水環境問題の研究

山中 勤【教授 】

トレーサー・数値モデルによる水循環診断

主な卒業研究

  • 数値モデルを用いた火山地域の河川流出特性の解明

  • 人工衛星からの地球表層土壌水分観測

  • 温暖化ガスを用いた地下水の年代推定

  • 安定同位体による水循環の追跡

  • 霞ヶ浦の熱収支と蒸発量の時空間変化

  • 温泉水の起源と地球化学的特徴

モンゴルでの小型航空機観測
エジプトナイルデルタでのトウモロコシの葉面積測定
霞ヶ浦湖心観測所に設置した乱流計測機材
バンコク首都圏の地下水流動シミュレーション

気象学で扱われる局地循環や天気予報技術から気候変動や地球温暖化まで,大気現象を幅広く研究


教員

植田 宏昭【教授 】

地球温暖化や異常気象などの気候変動の解明

日下 博幸【教授】

都市気候(ヒートアイランド,都市型豪雨)

田中 博【教授 】

大気大循環の長周期変動とエネルギー論

上野 健一 【准教授 】

山岳気象、大気陸面相互作用、小気候観測

釜江 陽一【助教 】

気候変動学、古気候学

原田 真理子【助教】

古気候学と生物進化

松枝 未遠【助教】

アンサンブル予報・異常気象の予測可能性・気候変動予測

中村 祐輔【特任助教】

都市気候(都市境界層やヒートアイランドなどの観測)

主な卒業研究

  • チベット高原が梅雨期の日本付近の降水へ与える影響

  • 最終間氷期の軌道要素とアジアモンスーンの変動との関係

  • 真夏日の午後に東京23区で観測された短時間強雨の実態調査と予測実験

  • 北海道・東北地方における風力発電のための風速変動研究

  • ライブカメラを用いた富士山に出現する笠雲の気候学的研究

  • フェレル循環と温帯低気圧の関係についての研究

  • PUFFモデルを用いた桜島の空中火山灰濃度の推定と航空安全への応用

  • 長野県富士見高原における雲海の観測

計算機実験
スパコンと.HEIC
冬季野外実験

環境動態解析学

大気圏・岩石圏・水圏・生物圏の交点である地球表層での水・物質動態の解析を通して、動的な自然環境の理解を深めるとともに、人間活動による変化の解明を目指す

教員

恩田 裕一【教授 】

水文地形学,放射性物質の移行と水土砂流出

加藤 弘亮【准教授】

森林での水・物質動態の研究

松下 文経【准教授 】

リモートセンシングによる地球環境変化の監視

高橋 純子【助教 】

土壌の生成と分類および物質動態

主な卒業研究

  • チェルノブイリSakhan川流域におけるCs-137, Sr-90濃度の季節変化および土地利用との関係

  • リモートセンシングによる霞ヶ浦湖水の純一次生産量の推定

  • 樹冠遮断プロセスが林内雨の放射性セシウム及び溶存物質濃度に及ぼす影響

  • 福島県の土壌における土壌粒子の粒径によるCs-137の選択性

3Dレーザースキャン測量
湖沼水質調査
森林水文観測
土壌断面調査